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水道施設の鉄筋補強に適したウエルドメッシュの特性とは

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ウエルドメッシュ
水道施設の新設・更新工事、配管の埋設・耐震化工事、受圧槽や浄水施設の基礎補強など、あらゆる水道関連の土木・建築工事において、コンクリート構造物の耐久性と安定性を確保するためには、鉄筋による補強が不可欠である。その中でも、手間を抑えつつ効率よく鉄筋補強ができる資材として用いられているのが「ウエルドメッシュ(溶接金網)」である。ウエルドメッシュは、縦横に交差する鉄線(ワイヤー)を一定間隔で並べ交点を電気抵抗溶接で接合した金網状の鉄筋製品である。一般的にはパネル状(矩形)で流通しており現場での敷設が容易で鉄筋の配置精度と作業効率を向上させる効果がある。水道関連の工事においても、道路下の配管敷設、ポンプ施設や調圧タンク基礎、コンクリート保護壁、消毒槽や水槽の床版など数多くの場面でウエルドメッシュが利用されている。

1. ウエルドメッシュの基本的な構造と規格
ウエルドメッシュは通常、縦線(タテ筋)と横線(ヨコ筋)の鉄線径(D10, D13, D16など)および交差ピッチ(100mm、150mmなど)によって規格化されており、JIS規格(JIS G 3551)に準拠して製造されているものが多い。パネルサイズは1×2m、2×4mなどが一般的で、現場ごとにカットや連結が可能である。
水道施設では、用途に応じて以下のような仕様が選定される。
・基礎補強用:D13~D16程度の線径でピッチは150mmが一般的
・土間コンクリート:D10程度の細めの線径で施工性重視
・水槽・マンホール床版:防水性と耐久性を考慮して二重配置する場合もある
2. 水道工事における使用例と具体的な施工場面
a. 配水管・送水管の埋設工事
水道管を道路下や河川敷などに埋設する際には、埋戻し時の沈下を防止するため、また周囲の地盤変動による配管への影響を緩和するために管路周辺や覆工コンクリート部分にウエルドメッシュが利用される。特に人通りや車両通行が多い都市部では、覆工版や舗装復旧後の沈下を防ぐため、しっかりと補強された基礎構造が求められウエルドメッシュの導入は不可欠である。
b. 浄水施設やポンプ所の構造体補強
ポンプ所や薬注設備などの建屋構造物では、基礎・床版・壁の耐久性を確保する必要がある。これらの鉄筋コンクリート構造において、定尺の鉄筋を一本一本配筋するよりもウエルドメッシュを使用することで配筋作業を大幅に短縮し配筋の均一性も高めることができる。特に複雑な配管を内包する床スラブなどでは、ウエルドメッシュをあらかじめ設計に基づいてカット・配置することで、施工精度が向上する。
c. 調整池・沈殿槽の床補強
大規模施設である沈殿槽や調整池などでは、日々の水位変化や流動によるコンクリートの劣化が問題となる。床スラブの補強には、錆に強い亜鉛メッキタイプのウエルドメッシュや、防錆処理済のものを使用することで長期間の耐久性を確保する。水を扱う施設であるため、ひび割れ防止も重要でありメッシュ状に均一な補強が施されることで、微細なクラックの発生を抑える効果もある。
d. 道路横断部の特殊補強
配水本管が道路を横断する部分では、交通荷重や凍結・融解による膨張収縮など様々な応力が加わる。こうした条件下では、管の上部にウエルドメッシュを組み合わせた鉄筋コンクリートの荷重分散構造が設けられる場合があり配管の破損リスクを低減する役割を果たす。
3. 施工上の利点と留意点
【利点】
・施工効率が高い: 既製品であるため現場での鉄筋結束作業が大幅に削減でき施工期間の短縮につながる。
・品質の均一性: 交点が全て機械溶接されているため結束不良の心配がなく強度のバラツキが少ない。
・安全性の向上: 一本ずつ鉄筋を配筋するよりも現場での持ち運び・組立が簡易で安全作業につながる。
・在庫管理が容易: 定尺製品であり数量管理がしやすいため現場ごとの資材調達や積算も正確に行える。
【留意点】
カットや加工には注意が必要:必要に応じて現場でカットする場合、専用の切断工具が必要であり安全管理が求められる。
・重ね継ぎしろの確保: 複数枚を並べて使用する際には、十分な重ね長さ(標準で鉄筋径の30倍程度)が必要であり構造計算に基づいた配置が必要となる。
・腐食対策: 露出部分や地下水に接する部分では、腐食対策(塗装、被覆処理など)が施された製品の使用が推奨される。
4. 今後の展望と環境対応
近年、水道インフラにおいては耐震性能・耐久性能の強化に加え、持続可能な施工方法や資材選定も重視されている。その中で、ウエルドメッシュも以下のような新技術と組み合わせた活用が進められている。
・エポキシ樹脂塗装タイプの導入: 特に腐食環境において、ウエルドメッシュ全体に防錆塗装を施した製品が採用されており耐用年数の延長が期待されている。
・再生鉄材による製品: 資源循環型社会の推進に伴い製造時に再生鉄材を活用したエコロジー製品も一部登場しており自治体発注工事では環境評価の一部として導入が進んでいる。
・BIM・CIM対応設計: 3D設計と連動しウエルドメッシュの配置も事前にシミュレーションできる環境が整いつつあり精度の高い施工と設計連携が可能になっている。
5. 結語
ウエルドメッシュは、水道施設建設・維持の基盤を支える鉄筋補強材として、あらゆる構造物に応用されている。施工の効率化と品質向上、さらには耐久性やコスト削減においても重要な役割を果たしており水道インフラ整備において今後も欠かせない資材である。その活用には、施工者による適切な設計理解と施工管理が求められ標準化・教育体制の強化も今後の課題として挙げられる。



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